引き寄せ的イソップ アリとキリギリス

ある夏の日、アリたちがせっせと食べ物を運んでいると楽しそうな歌が聞こえてきました。

歌が大好きなキリギリスです。

アリたちは言いました。

「キリギリスくん、歌ってばかりいないで少しは働いたらどう?」

「働かないと、食べるものがなくなって死んでしまうよ」

キリギリスは言いました。

「歌を歌うのが好きなんだ!楽しく、幸せな気持ちになれる。」

「みんなは知らないかもしれないけど、僕だってちゃんと食べ物集めをしているんだよ。」

「歌を歌って楽しい気持ちになってから集めると、あっという間に集まるものさ。」

「あっという間に仕事が終わるから、みんな僕は歌を歌っているだけだと思うんだね。」

「アリくんたちは毎日楽しいかい?」

「仕事に追われてクタクタだよ!」

アリたちは一斉に答えました。

「ぼくは果物を集めるのが好きだけど、それだけでは死んでしまう。果物は少ないからね。」

「ぼくは泳ぐのが好きだけど、遊んでばかりはいられないよ。」

「私は地図を見るのが好きだけど、遊んでばかりいたら死んでしまうわ。」

「私は、自分が何が楽しいのか、自分が何が好きなのか分からないわ。。」

キリギリスは言いました。

「楽しいことをすると力が湧いて、他のことも上手く片付くんだけどな。」

「それなら今まで通りに過ごすしかないね。残念だけど。」

そうして、アリたちが変わらず毎日せっせと働いているうちに冬になりました。

ある日アリたちが一生懸命働いていると、

また楽しそうに歌っているキリギリスくんに会いました。

温かいコートも、素敵な帽子もかぶっています。

キリギリスの周りには、楽しい歌を聞こうとたくさんの虫たちが集まっていました。

アリたちはそんなキリギリスを見てうらやましくなりました。

「どうしたらキリギリスくんみたいになれるんだろう。」

アリたちは、キリギリスくんの言っていたことを思い出しました。

「楽しいことをすると力が湧いて、他のことも上手く片付く・・って言っていたよね。」

そこでアリたちは決心しました。

楽しいことをする決心です。

今までのやり方を変えるのには勇気がいりますが、

どうしてもキリギリスくんのように楽しく暮らしてみたくなったのです。

果物を集めるのが好きなアリは、

地図が好きなアリに果物がたくさんできる場所を教えてもらい、

色々なところへ行ってみました。

色々なところへ行っているうちに

どこでどんな果物が食べられるのか分かるようになり、

一年中好きな果物を食べられるようになりました。

地図が好きなアリは、

色々なアリに地図で分かることを教えてあげました。

すると、教えたアリからたくさんのお礼をもらうようになりました。

もう自分で食べ物を探しに行かなくても十分な食べ物が手に入ります。

「私、楽しく地図を見てばかりなのに困ることは1つもないわ!」

泳ぐのが好きなアリは、水の中から食べ物を集めることにしました。

水の中の食べ物は貴重なのでみんなが欲しがります。

「ぼくにもちょうだい!私にもちょうだい!」

水の中の食べ物は少ししかないので、それだけ食べていたら死んでしまいますが、

欲しがっているアリに1つあげると、お礼に他の食べ物を5つ、6つともらえるので困りません。

自分が何が楽しいのか、何が好きなのか分からないアリはどうしているでしょう。

今まで通りせっせと働きながら考えていました。

「私は何が楽しいかしら、何が好きかしら」

何かするたびに考えていました。

「私はこれが好きかな?楽しいかな?」

ある日、赤ちゃんアリの世話をしている時です。

赤ちゃんアリがにっこり笑ってくれました。

とてもうれしい気持ちです。

「もしかして、これが私の好きなことなのかしら・・?」

まだはっきり分かりませんでしたが、

アリはその日から赤ちゃんのお世話をする時間を増やしてみました。

「・・・やっぱり楽しい!」

そのうち、一日中赤ちゃんのお世話をするようになりました。

赤ちゃんのことが好きなので、赤ちゃんがどうしたら喜んでくれるかを一日中考えるようになりました。

考えている時間もとても楽しいのです。

「こうしたら赤ちゃん喜ぶんじゃないかしら、こういうのも喜びそう・・♪」

こうして楽しく赤ちゃんのお世話のことばかり考えて過ごすうちに、

大勢の赤ちゃんはそのアリのことが大好きになりました。

女王アリもそのアリに大きな信頼を寄せるようになり、お世話係の先生になってほしいとお願いしました。

さて。赤ちゃんのお世話は大変です。

イヤだ!イヤだ!と泣き続ける赤ちゃんもいます。

そんな赤ちゃんのお世話を、ため息をつきながらしているアリがいました。

楽しそうに赤ちゃんのお世話をしている先生に聞きました。

「どうして楽しそうにお世話できるんですか?どうしたら楽しくお世話ができますか?」

すると先生は答えました。

「私は赤ちゃんのお世話が好きなのよ^^」

「あなたは何をしている時が楽しいかしら?」

「私は何をしている時が楽しいかな・・。」

アリは毎日の時間を過ごしながら、

「私は何が楽しいかな?何が好きなのかな?」

と考えながら過ごすようになりました。

あなたは、何をしている時が楽しいですか?

ーー

先日、TV「ダーウィンが来た」でウツボカズラの中の液体の中を泳いで虫を捕まえるアリがいることを知りました。

泳げるアリもいるんですね~!

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